地方公共団体はその区域に住む住民を構成員としており、住民の福祉の向上を目的とする存在であることは言うまでもない。しかし様々な都市機能が集積する大都市にはそれを超えたより大きな責任があると考える。
大都市が今後どのような状況になっていくかは、国土構造や国の経済構造をはじめ、人口分布や社会的機能の配置など、国のあり方や国民に広く影響を及ぼすものである。とりわけ地域間の人口格差が広がるであろう人口減少局面においては、現在の大都市が将来において果たすべき役割をどのように考えるかによって、国と地域社会のあり方が大きく変化することが予想される。
日本という国土の中での位置付け、そして近隣エリアでの位置付けをどのように捉えるのかを明らかにし、それを踏まえて将来に向けて果たしていくべき役割を考える必要がある。現在大都市が保有している個々の都市機能の将来像についてもまた同様である。
もちろん自治体である以上、市民の視点からの様々な議論は必須であるが、都市の将来に向けた政策を議論していくにあたっては、あえて「大都市は住民だけのものではない」ことを押さえておきたい。
[2021年研究会での発言より]