公務員であった時は原稿を書くというのは仕事の合間、もしくは休日に行うべき作業だった。また仕事の延長線上での原稿がほとんどであり私的意見を述べることは控えていたため書く内容について悩むことはほとんど無かった。
大学に来てからは自分の意見をそのまま書くことが出来るようになった。表現の自由をようやく獲得できた気分ではあるが同時に書くということの辛さを感じる日々でもある。
自分は何を考えているのか、何を伝えたいのか。書くことは自分と向き合うことでもある。もちろんそれなりのインプットも必要だ。原稿に向き合い頭を掻きむしるような時間を過ごすたびに、なぜか鶴の恩返しの民話を思う。
しかし書くことは思考する動物である人間にとって、かけがいのない貴重な作業だということは何となく分かるようになってきた。
Aiに頼ることなく、これからも人間のみに与えられたこの営みにしっかりと向き合っていきたい。