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思い出した出来事

ようやくGWも終了する。外に出ると人混みがすごくてGWであることを感じさせたが、それ以外はほとんど普通に仕事をしていて変化はなく、久しぶりにまとまった時間が取れた日々だった。ただ憂うべきことに原稿はまだ半分しか出来ていない。。

 

固まった頭をほぐすべくサボってYoutubeを見ていたら、何故かおすすめ番組として民主党政権時の「事業仕分け・行政レビュー」が出てきた。あれが全て記録されていたことは初めて知った。ついつい仕事を止めてしまい、多くの動画の中から自分自身が出演(?)しているものも見つけた。

 

10数年前の出来事だが、こうして動画を見ると昨日のことのようだ。今でも忘れることのない、最も不快なシーンも目の当たりにしてしまった。それは行政側の責任者である副大臣や政務官が、あたかも第三者的に仕分け人側に立って公開の場で部下を問い詰める場面だ。全てを承知している上司に部下が問い詰められている場面を見ながら、密かに期待していた政権交代に失望し理不尽さに対する憤りを感じていたその頃のことをリアルに思い出した。

 

思いがけないものを見つけてしまい、仕事を放り出してその他の事業仕分けの動画も色々と見てみた。当時問題提起された項目は、確かにこれまで手がつけられて来なかったものが多かった。議論の視点自体はとても良かったのではないかと思う。ただ現在の状況と照らし合わせると、議論されたことは全く改革が進んでおらず、そのままの状態が続いているものがほとんどだ。一つひとつの動画を見ながら、政治的ショーであったこの議論を踏まえてはこの10数年、何一つ前に進んでこなかったことを改めて感じた。

 

今、自民党・公明党政権の支持率が下がり、再び政権交代への期待が高まっているという。政治の緊張感を保持するためにも政権交代は必要であると思う。しかし現在の野党の現状からは、実現したとしても恐らくまたうまくいかないんだろうな、とも思う。

 

マネジメントとは理論や仕組みだけではない。当然のことではあるが実際に組織で動くのは人である。人の気持ちをどのように動かしていくのか、その視点無くしてあらゆる組織のマネジメントは成り立たない。ましてや国は私たちの社会の中で最も大きい巨大組織である。政権運営とは国という社会と各省庁という実働部隊、そして個々の政策に利害関係を有する多くの組織や人を対象とした究極のマネジメントである。

 

政権に関わる人たちに求められる基礎的能力は、それぞれの立場の人々の気持ちを組んでそれを一つの方向に向けて動かすという、どんな組織のマネジメントにも求められる基本的なスキルである。そのスキル無くしての政権交代は、再び大きな失望となって新たな禍根と空白の時間を生み出すであろう。