国家公務員と地方公務員の志願者が減り人材不足が深刻化していることが指摘されて久しい。自分自身も途中で転職した身であるのでその要因は経験に照らして理解できる部分と、若年層の昨今の働き方に対する変化に関わる部分との2つに分けて考えている。
経験則に照らして理解できるのは、公務員の社会的な地位低下と政治との関係である。国や地域社会のために働く公務員がその待遇はさておき社会的には評価された時代が終わり、「公僕」と評される時代となった。サービス業におけるカスハラの問題と同じく公務員に対する評価は低く厳しいものとなっている。
公務員になって数年経った頃、17時15分の終業とともに冷房が切られるのでやむを得ず押し上げ式の窓を開けて仕事をしていたら、庁舎を遠くから見た市民から冷房費の無駄遣いとのクレームが寄せられたことがあった。当時はそれに憤っていたのだが、それ以降も公務員への視線は厳しさを増す一方で、居酒屋などで職業を聞かれても公務員とは明かさないのが習慣となっていた。誇りを持って取り組んでいる自分の仕事を堂々と言えないことは、本当に辛く悲しいことである。
さらに大きいのが政治との関係であった。国には国会、さらに各省庁には大臣を始めとする政治職が存在し、地方公共団体には公選の長と地方議会がある。自分自身は幸いにも尊敬できる方々と巡り合うことが出来たが最近では長によるパワハラなども多く報道されるようになった。国の省庁でも同様なことはあり得るとは思うが、自身の経験で最も思い出すのは、民主党政権時に省庁内における政治家との関係によって自分を含む公務員のやる気が削がれ一気に組織が荒廃していく中に身を置いたことである。
政策議論を尽くして国に貢献したいという思いを持つ公務員にとって、国会の下請けのような仕事に公務時間はおろか私的時間までをも侵食されることは失望とともに屈辱に近い。自治体によって状況は異なるものの地方議会においても同様のことがある。
副業を認めたり残業を減らしたり給料を上げたりと、最近では公務員志願者を増やすためのあの手この手が尽くされているが、いくら環境を整えてもやりがいのある仕事、という本質的な問題を解決しない限り、社会を支える人材の確保は難しいと思う。